香気な菫(月刊Kacce3月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2018年3月号(vol.411)掲載記事の再編集です。

多くのチョウは冬の間を卵やサナギの状態で過ごし、暖かくなる春に羽化しますが、キチョウ(キタキチョウとミナミキチョウがあります)は成虫のまま越冬するので、春一番によく見かけます。日の当たる葉の表面などで羽を広げている姿や、チョロチョロと花の上を飛ぶ様子には春うららを感じます。

そんな頃、時々見かける菫(すみれ)に、ニオイスミレ(スミレ科スミレ属)があります。耐寒性のある多年草で、原産地はヨーロッパから西アジアなど。日本では明治時代に輸入・栽培され始め、現在では道端や落葉樹の下などに逸脱し野生化しています。

草丈は10㎝少々、茎は匍匐(ほふく)し、葉は根生で基部の切れ込んだハート形の両面に短毛があります。花は葉とほぼ同じ長さの花茎の先に咲き、径2㎝前後。左右相称の5弁花で、普通はすみれ色(栽培品には淡いピンク色や白色もあります)です。

ニオイスミレの群落

バラやラベンダーと並ぶ香水花であり、花に鼻を近付けると香気にすぐ気付きますが、道端で“このポーズ”をするのは気が引けるかもしれません。

そんな時は、カクテルのバイオレット・フィズでも香りを確かめることができます。最近では、ニオイスミレを「スイート・バイオレット」の名前で販売しているようです。

野生化したニオイスミレが道端で見つからない場合は、花壇の近くなどでも探してみてください。逸脱したものがあるかもしれません。

今年の桜の開花は3月末頃となりそうですが、春爛漫の前に香りの散歩をお続けください。

森野かずみ

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