七十二候とアミガサユリ(月刊Kacce4月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2018年4月号(vol.412)掲載記事の再編集です。

4月初旬頃はソメイヨシノのお花見、中旬頃はサトザクラ類の花見散歩が中心となる、春爛漫の季節です。

季節を表す暦のひとつとして、最近ではよく「二十四節気」が取り上げられていますが、これは中国の表現をそのまま取り入れたもので、日本の季節感とは少しずれを感じます。

一方、同じように中国から伝わったものに「七十二候」がありますが、こちらは二十四節気を約5日ごとに、初候・次候・末候(まっこう)の3つに分け、日本の気候や動植物を織り交ぜて修正されてきたもので、身近な季節のうつろいが感じられます。

例えば4月5日は初候(南方から燕来る)、10日は次候(雁、北へ帰る)、15日は末候(雨後、初めて虹が見える)など。まだあまり一般的ではありませんが、自然観察の参考になりますので、カレンダーなどでお楽しみください。

アミガサユリ

桜と同じ頃に花を咲かせる草本のひとつに、ユリ科バイモ属のアミガサユリ(別名はバイモ)があります。

3月下旬頃から咲き、見頃は4月上旬頃まで。高さは50㎝位になり、葉は輪生し、線状披針形(ひしんけい)で無柄。上部の葉は先端が反り返って巻いています。花茎約3㎝の釣鐘型の花は下向きに咲き、淡黄緑色の花被片は6個。内側の黒紫色の網目状斑紋や花の形から、アミガサユリの名が付いたと言われています。

別名のバイモは、漢名「貝母」の音読みで、鱗茎の球根の形に由来します。中国が原産地で、栽培花ですが、逸脱した個体も時々見かけます。

アミガサユリ全景

冬から早春の花の少ない頃、茶花として珍重されているアミガサユリに、侘・寂(わび・さび)を感じながら散歩をお続けください。

森野かずみ

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