高砂百合(月刊Kacce8月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2019年8月号(vol.428)掲載記事の再編集です。

 今月8日は立秋。暦では秋の始まりですが、年間最高気温はこの時期に観測されることが多いため、まだまだ暑さが続きます。

 15日は盂蘭盆会(うらぼんえ)で、終戦記念日と重なります。盂蘭盆会には迎え火を焚き、精霊棚に盆花を飾り、初秋の野菜などをお供えして祖霊を祀ります。

 雑草という名の草はありませんが、意図せず勝手に生えた草はまとめて雑草と呼ばれています。花壇などでは見つかり次第、除草されることが多い中で、この季節に残されているのをよく目にするのがユリ科の多年草、タカサゴユリ(高砂百合)です。

タカサゴユリ

 花の形はテッポウユリによく似ていますが、ラッパ状の6弁花の外側に紫褐色の筋があるのが特徴。茎の太さは1㎝前後で、15㎝ほどの細長い線形の葉が密に生えていることからも見分けられます。120㎝前後と非常に背が高く、草刈りをしていない道端や荒れ地、畑の隅っこや花壇などで花を咲かせます。

 タカサゴユリの原産地は台湾で、名前の由来は沖縄の方言と言われています。沖縄では台湾のことを「タカサング」と呼び、そこからタカサゴユリと名付けられたようです。

 日本には1924年頃に持ち込まれ、庭園や切り花用に栽培されてきましたが、発芽から6か月ほどで開花することや、風に乗せて種子を広範囲に飛ばす強い繁殖力があることから野生化しているようです。ただし、連作障害により、いつの間にか無くなることもあります。

 ユリの花粉は粘着性が強くて落ちにくいため、衣服に付けないように注意して散歩をお続けください。

森野かずみ

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