山茱萸の耀き(月刊Kacce11月号 散歩ウオッチング)

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散歩ウオッチング

※この投稿は、月刊Kacce2020年11月号(vol.442)掲載記事の再編集です。

最近、空を見上げたことはありますか?
鳥の鳴き声や虫の音に耳を澄ましたことはありますか?

季節の移り変わりに関心を持ったことはありますか?

 都市生活では、視覚・嗅覚・味覚・触覚・聴覚の五感のうち、特に食に関する「視る」「嗅ぐ」「味わう」は研ぎ澄まされているかもしれませんが、「触る」「聴く」についてはいかがでしょうか。

 秋になると赤い実を付けた木々をよく見かけます。これはミズキ科ミズキ属の落葉樹「サンシュユ(山茱萸)」で、グミに似た数多くの実が夕日に輝いています。赤い実の真ん中の硬い核を除いて乾燥させたものは生薬の山茱萸で、漢方薬の八味地黄丸などに配合されています。また焼酎に漬け、疲労回復や強壮のための薬酒にもされますが、生食はできません。

サンシュユ果実

サンシュユ果実

 サンシュユは漢名である「山茱萸」の音読みで、別名の「ハルコガネバナ(春黄金花)」は、早春に咲く黄色い花の様子から牧野富太郎博士が命名したもの。赤い実の色から、「アキサンゴ(秋珊瑚)」という別名もあります(ちなみに茱萸とはグミのことです)。

 宮崎県の民謡「ひえつき節」の「庭のサンシュノキに鳴る鈴かけて…」という
1節から、この木がサンシュではないかとの説もありますが、サンシュは方言で「サンショウ(山椒)」(ミカン科サンショウ属)のことだそうです。

 秋の実は小鳥のごちそうと言われますが、サンシュユの果実は目立つわりには小鳥の味覚には合わないようで、最後まで残って輝いています。

 散歩は意識すれば五感をフルに活用できるもの。時々立ち止まって秋空を見上げながら散歩をお続けください。

森野かずみ

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