爆蘭(月刊Kacce7月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2021年7月号(vol.450)掲載記事の再編集です。

 最近は梅雨入りも梅雨明けもはっきりとせず、ニュースなどでも「〜と思われる」といった表現が多いような気がします。ただ、屋根の下で暮らす私たちの日常生活に梅雨はあまり影響しなくなってきているのかもしれませんが。

 植物観察で梅雨入りの目安となるのは、部分的に黄色や赤になってくる梅の実の色付き。梅雨明けの目安はサルスベリ(百日紅)の開花です。体感的に梅雨明けを感じたら食べたいのが旬の夏野菜、トマト。南米アンデス原産で、赤い色は抗酸化力の強い色素リコピンによるもの。植物繊維は水溶性でビタミンCやカリウムが含まれ、グルタミン酸、アスパラギン酸も多い栄養価の高い野菜です。

 住宅地の道やコンクリートの割れ目などに突然現れたり、数年でこつ然と消えたりする道端の草、ハゼラン(爆蘭)を見かけるのもこの頃です。ハゼラン科ハゼラン属で、熱帯アメリカ原産の帰化植物です。葉は近接して互生し、長さ数㎝でやや多肉質。茎の先に数10㎝の円錐花序を出し、直径数㎜の紅紫色の5弁花を咲かせます。  

ハゼラン
ハゼラン

 

 開花期は9月頃までと長いですが開花時間は短く、午後3時前後の2~3時間位。円錐形の蕾や丸い果実の状態で見かけることが多く、花を見るには気力と偶然性が必要かもしれません。このため、三時草、三時花、花火草、コーラルフラワーなど別名が多いのも特徴です。蕾と花と実を全体的に眺めてみると、線香花火のようにも見えます。熱帯地方では食用として栽培されているので葉は食べられます。中国では、土人参という漢方薬名で根を利用しています。

 あちこちに顔を出すハゼランのように、軽快な散歩をお続けください。

森野かずみ

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