落ち葉(月刊Kacce12月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2019年12月号(vol.432)掲載記事の再編集です。

 何かと気ぜわしい師走。旬のネギは奈良時代に中国からもたらされたとされる薬用野菜で、緑の部分はカロテン、カルシウム、ビタミンKなどを、白い部分はビタミンCを豊富に含みます。

 香り成分のアリシンは疲労回復や血行促進などに効果があり、鍋料理には欠かせません。また、22日の冬至に食べると「運が付く」と言われる冬至七種(ななくさ)は、銀杏、人参、蓮根、南瓜、金柑、寒天、饂飩(うどん)で、すべて「ん」の付く食べ物です。

 林を散歩していると、くるくると回りながら落ちてくる落ち葉に風の姿を感じます。落ち葉はゆっくりと朽ちて腐葉土となり、小さな虫や微生物の寝床にもなります。

落葉
落葉

 晩秋になると葉から茎への物質の移動が妨げられ、葉の組織内にたまった糖分がアントシアニンと呼ばれる紅色の色素に変わり、葉緑素が分解されて赤く色付くのが「紅葉」。アントシアニンが形成されず、葉緑素が分解されて葉緑体にある色素のカロチノイドが目立ち、黄色くなるのが「黄葉」です。アントシアニンの形成とカロチノイドの程度により、葉はさまざまな色の変化を見せます。

 葉の寿命が1年以内の落葉樹は、寿命が来た葉が茎から離れる秋に集中的に落葉します。落葉前には、葉の有用物質を茎へ回収し、茎の不用物質を葉に移動させるため、落葉は樹木にとって老廃物の処理といえるかもしれません。

カシワの枯葉
カシワの枯葉

 クヌギやカシワなどの葉は、離層(落葉を促す葉柄の基部にできる特殊な組織)の形成が遅いため、春先まで枯葉を付けていることもありますので、上下を眺めながら落ち葉散歩をお続けください。

森野かずみ

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