※この投稿は、月刊Kacce2017年9月号(vol.405)掲載記事の再編集です。
今月は、散歩中の足元で見つかる草、オオバコ(大葉子)の花期の終わりを迎えます。
踏まれても踏まれても花を咲かせるオオバコ(オオバコ科オオバコ属)は薬草としても知られ、生薬名で全草を「車前草(しゃぜんそう)」、種子を「車前子(しゃぜんし)」と呼びます。
15㎝前後の花茎を数本伸ばし、小さな花をびっしりと付け、花序の下から咲き上がります。花は4月頃から咲き始め、半年近く観察することができます。
めしべは先熟で、ガクの間から柱頭が出て、受精した後に4個のおしべが伸びてきます。そのため、花茎によってはめしべ・おしべ・実、3つの時期を見ることができます。また、花茎は引き抜いて二つ折りにし、2人がお互いに引っ掛けて引っ張りあい、切れた方が負けという「オオバコ相撲」を楽しむこともできます。
ちなみに、地上茎がとても短く、地中の根から出ているような葉を「根生葉(こんせいよう)」と呼びます。また、根生葉が集中して付き、放射状に見える形を、バラ(ローズ)の花びらに由来した言葉で「ロゼット」といいます。オオバコはロゼットの中心に芽(頂芽)があるため、新葉も中心から出ます。
オオバコの葉は意外に硬いのですが、食べられます。洗った新葉に横の切れ目を入れ、衣を付けて中温の油でシャキッとするまで揚げ、塩をかけて食べるのがおすすめです。(食べる時は自己責任で!)
オオバコの味を想像しながら、初秋の散歩をお続けください。
森野かずみ