蛇の髭(月刊Kacce12月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2018年12月号(vol.420)掲載記事の再編集です。

「ん」のつく食べ物(例:なんきん、れんこん、うどん)を食べ、幸運を呼び込むゲン担ぎのある冬至は22日。

このうち、れんこんは「先が見通せる」という意味で縁起物の野菜です。

公園や畑の端などで、キラリと光る宝石・ラピスラズリのような実を見かける頃になりました。

冬の季語で「竜の玉」。キジカクシ科ジャノヒゲ属のジャノヒゲ(蛇の髭)で別名はリュウノヒゲ。常緑のよく茂った葉の中にそっと宝石を隠すように瑠璃色の実を付けているので、手でかき分けて探さないと見つけられないかもしれません。



果実


ジャノヒゲ

能では、男性の老人の面を「尉(ジョウ)」と言いますが、ジャノヒゲの和名は、葉の様子をその面のあごひげに見立てたことから付いたジョウノヒゲ(尉の髭)という呼び名がなまって変わったものだと言われています。

葉は長さ10~20㎝、幅2~3㎜の線形。よく似たオオバジャノヒゲの葉は長さ15~30㎝、幅4~7㎜でジャノヒゲより幅が広く、やや厚みがあるのが特長。実は灰緑黒色です。よく園芸で利用されている玉竜は、ジャノヒゲの葉の短い物から作られた園芸品種で、黒竜、白竜、玉竜錦もその仲間です。

ジャノヒゲの根には肥大部分が多く、そこは菌根菌(菌根を作り植物と共生する菌類)で、咳止めや喘息の薬・麦門冬(バクモンドウ)として利用されています。菌根菌は植物が地上に上陸した4億年前から共に進化してきたパートナー。

多くの植物が菌根と共生体を作っていることを認識しながら、足元の宝石を探して散歩をお続けください。

森野かずみ

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