※この投稿は、月刊Kacce2019年3月号(vol.423)掲載記事の再編集です。
ソメイヨシノの開花予想は3月下旬なので、お花見は今月末頃でしょうか。
木だけでなく、足元の草花も花を咲かせる頃ですが、都会のアスファルトやコンクリートの隙間など、意外な所にスミレ類を見かけることがあります。
日本ではスミレ類は春を告げる野草の代表で、「スミレ」と聞いて木本(いわゆる木)を連想する人はほとんどいないと思います。スミレ科は20属ほどあり、その大半が木本となっていますが、このうち日本に自生するのはスミレ属だけで、すべて多年生草本です。なので、スミレと聞いて草を思い浮かべるのは当然のことと言えるでしょう。
多年草のため、毎年同じ場所で見かける個体も多くありますが、意外な所で見かけるものについては、アリが関係しています。スミレ類は、種をある程度飛ばすことができますが、その種をさらに遠くに運ぶのがアリなのです。種に好物のゼリー(エライオソーム)が付いているので、運ぶ途中で種を置いたり、巣でゼリーを食べた後に種を運び出したりすることで、種まきをしているわけです。
スミレ類には、地上茎が伸びて葉が互生するタチツボスミレやツボスミレなどのグループと、地上茎が発達せず、葉や花茎が根元から出るマルバスミレやヒメスミレなどのグループがあります。
タチツボスミレは茎から出る葉の付け根にある托葉がクシの歯状に深裂し、ツボスミレは深裂しません。マルバスミレは丸みのある葉と白色の花色、ヒメスミレはいわゆるすみれ色で深い紫の花色です。花の頃は小型で可憐な感じから、それぞれ見分けることができます。
どれも大きな公園などでよく見かけるスミレ類なので、目で見て楽しみながら、散歩をお続けください。
森野かずみ