新生活のストレスに負けないメンタルケア術(月刊Kacce2025年4月)

新年度が始まる4月は、生活に大きな変化が訪れる季節。新しい環境のなかで、うまくストレスを管理し、円滑な人間関係を築くためのヒントを、組織でのメンタルヘルスの専門家・渡部卓さんにお聞きしました。

※2025年4月号掲載当時のものです。内容が変更になっている場合があります。

新生活のための2つのキーワード

 慣れない環境では、人は誰しも緊張したり、不安になったりするものです。人間関係を新たに構築し直すこともストレスとなります。
 「コミュニケーションで大切なのは、傾聴。“話す”スキルよりも“聴く”スキルです。自分を知ってもらおうと自分語りをするのは逆効果」と渡部さん。 どんな話でもどんな相手でも遮ったり、否定したりせず、最後まできちんとていねいに話を聴くのがポイント。「話を聴いてくれた」という相手の満足感が、信頼関係を築くことにつながります。新しい組織にうまくなじめず、孤立しているように感じるときも傾聴が役に立つそうです。
 「物事の捉え方で、ストレスは大きく軽減します。仲間はずれにされている、嫌われていると勝手に思い込まず、話を聴いてみると相手の本当の気持ちが見えてくるかもしれませんよ」
 自分の気持ちを伝えるときは、渡部さん考案の「かりてきたねこ」を参考にしてみましょう。部下を叱るときの7つのポイントの頭文字を取ったものですが、あらゆる状況のコミュニケーションに応用できます。


 新しいコミュニティの中で早く周りの人に認められたいと張り切り過ぎて疲れを溜め込んでしまう人もいます。
 「頑張り過ぎは5月病の原因になります。無理をせず、少しずつ慣れていきましょう。新しい環境のルールや文化に柔軟に対応しながら、幸せの『はひふへほ』の心構えを実践してみてください」
 成果も評価も半分でいい、ほどほどでいい。そう考えるとちょっと心が軽くなる気がしますね。

自然の中でストレス解消


では、ストレスが溜まって心身が疲れてしまったときはどうすればよいでしょうか?
 「森林浴を試してみてください。光が丘公園や石神井公園、赤塚公園など、練馬区と板橋区には、自然豊かな公園があります。この資産を活用しない手はありません」
 木々が生い茂る公園を深呼吸しながらウォーキングすると、交感神経と副交感神経のバランスが取れ、ストレスホルモンが低下し、免疫力を高める効果があります。張り詰めていた筋肉の緊張がほぐれ、気分がすっきりします。また、楽器演奏もストレス解消に効果的だそう。
 「練習を重ねて上達する達成感は自信獲得につながりますし、手指を動かすことで脳の活性化も期待できます。ウクレレやカリンバは初心者でも始めやすい楽器。公園に持って行って、演奏するのもいいですね」
 公園を訪れるのは、空気の澄んでいる朝がベスト。春の桜や夏の新緑、秋の紅葉など四季折々の表情を楽しみ、五感を使って、周囲の音や香り、風の感触を感じてみましょう。ピクニックに出かけて、美しい景色を眺めながらゆっくり食事をするのもおすすめです。
 「新年度の環境変化はストレスの原因になる一方で、自分自身を見つめ直し、成長する貴重な機会でもあります。人生は完璧である必要はありません。『はひふへほ』の精神で肩の力を抜いて過ごしましょう」

渡部 卓(わたなべ たかし)さん 

ライフバランスマネジメント研究所代表。職場のメンタルヘルスやコミュニケーションについての講演・企業研修・メディア出演等での多数の実績を持つ。

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