※この投稿は、月刊Kacce2021年9月号(vol.452)掲載記事の再編集です。
都会でも水辺で生まれた赤トンボをチラホラ見かける季節です。水田の多い里では、秋になると、夏の暑さを避けて山で過ごしたアキアカネが産卵をしに一斉に里に降りるため、帽子や指先に止まることがよくあります。
日本には多くのトンボが生息し、その種類はヨーロッパ全体よりも多く、日本の生態系の豊かさを象徴しています。トンボの呼び名は「飛ぶ穂」に由来するとも言われ、稲の実りをイメージさせます。
光が丘駅前のバスロータリーに、植栽された「オオモクゲンジ」(ムクロジ科モクゲンジ属)の花が見られる頃になりました。中国雲南省原産の落葉高木で、樹皮は灰白色、楕円形の小さな皮目があります。葉は互生、長さ60㎝前後、奇数2回羽状複葉で小葉のふちは全縁。枝先に大きな円錐花序を直立させ、黄金色で小さな花を多数付けます。反り返った花弁は4個、基部に赤い付属体があります。高所に咲くため双眼鏡観察がおすすめですが、地上にパラパラと落ちていることもあるので、足元を確認すれば小さな花が見られるかも。雌雄同株で雌雄異花、落ちているのは雄花だと思います。
果実は蒴果(さくか)で、長さ4㎝ほどの楕円形の袋状。果皮は風船のように膨れ、熟すと淡紅色になり11月頃まで見られます。花から果実への期間が短いので、10月頃までは花と果実が同時に見られるのも特長です。
まだ暑い日も多いので、体調に気を付け、睡眠と栄養を充分に取りながら散歩をお続けください。
森野かずみ