敷居が高くて難しいと思われがちなクラシック音楽にもっと親しんでもらいたい…。そんな思いで活動しているウィーン在住のピアニスト、石井琢磨さん。ホテルカデンツァ東京で8月にコンサートを行い、練馬とも縁が深い石井さんの魅力に迫ります!
※この記事は「月刊Kacce」2021年10月号の記事を再編集&追記したものです。
石井琢磨さんのプロフィール
ウィーン在住のピアニスト。1989年生まれ。東京藝術大学卒業後、ウィーン国立音楽大学へ。エネスク国際コンクールで日本人初の第2位入賞。現在ポストグラデュアーレコースに在籍。演奏活動のほかYouTube動画「TAKU-音TV たくおん」を配信中。
大好きなピアノで人を幸せに♪
石井さんのピアノの演奏を聴いてまず感じるのは、表現力豊かで美しく、繊細だということ。いつまでも聴いていたくなるような心地良さは、石井さんの優しくて穏やかな印象と重なるような気がしますが…。
「音には奏者の全てがそのまま表れるので、ごまかすことができません。ぼくの音は“石井琢磨”そのもの。だから、常に飾らず、無理せず、自然体であることを心がけています」
3才から始めたピアノが大好きで、弾いているだけで幸せだったという石井さん。中学生の頃、演奏会で「あなたの演奏を聴いて幸せな気持ちになりました」と声をかけられたのが、ピアニストを目指すきっかけになったそうです。
「自分だけでなく、 人のこともハッピーにできるなんて、ステキな職業だなと思いました」
こだわっているのは、生演奏で生の音の美しさを伝えること。 「良いものは良いと理解されていく」と信じ、どんな場面であっても誠心誠意尽くして最高の演奏を届けることを意識しています。
動画配信が大きな転機に
東京藝大を卒業してからウィーンに移住して約10年。ヨー ロッパを中心に演奏活動を行ってきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で演奏会が軒並み中止に…。途方に暮れた石井さんは、何かできることはないかと考え、YouTubeの配信を始めました。
シンプルな演奏動画だけでなく、演奏中の“心の声”を表現したり、楽曲の解説をしたりと、クラシックに親しめる工夫が凝らされています。さらに、海外に行けないこのご時世に、ウィーンの美しい街並みと演奏が織りなす世界に触れられるとあって、今まで日本では馴染みのなかった新たなファンも増え、まさにピンチをチャンスに変えた大きな転機となりました。
「通常、クラシックのピアニストはお客様の感想を直接聞く機会はあまりないのですが、動画はダイレクトに視聴者の皆さんの反応や声を受け取れるので励みになりますね」
友人の音楽家たちとの交流や、石井さんの等身大の日常生活も楽しめるので、ぜひ動画をチェックしてみてください♪
石井琢磨さんのYouTube動画 → TAKU-音TV たくおん
練馬との深〜いつながり
実は、中学3年からウィーンに行くまでの8年間を石神井で過ごしていたとのこと。石神井南中学校に編入し、サッカー部で活躍していたそうです。ピアノにサッカーとは、ちょっと意外な気もしますが…。
「小・中学生の頃はけっこうガチでサッカーやってたんですよ (笑)。演奏家はアスリートと同様に体が資本という一面もあるので、今でもウィーンの公園でサッカーをしたりして、積極的に体を動かすようにしています」
2021年8月にホテルカデンツァ東京でコンサートを開催
2020年秋に一時帰国した際、都内のストリートピアノを巡る演奏動画の配信を企画。「ロビーの水盤上にあるグランドピアノを弾いてみたい」と、ホテルカデンツァ東京にやってきました。予約を受けたホテルのスタッフ曰く、「調べてみたらすごいピアニストでびっくりしました」とのこと。
これを機にホテルカデンツァ東京でコンサートを開きたいと思った石井さんは、その後オンラインで交渉を重ね、2021年8月、ついに実現!! 日本各地で開催した6公演のうち、東京で行われた唯一の会場となりました。
「照明を使って演出したり、ケーキを食べながら(緊急事態宣言下のためお土産に変更)演奏を聴いてもらったり、お客様に楽しんでいただける企画をホテルの皆さんと一緒に考えました」と石井さん。
来年予定されている全国ツアーで、またカデンツァに来てくれるかも…!?
ホテルで演奏した、リストの「ラ・カンパネラ」の動画はこちらから視聴できます
ホテルカデンツァ東京(旧:ホテルカデンツァ光が丘)
練馬区高松5-8
TEL:03-5372-4411(代表)
石井琢磨の素顔に迫る!? Q&A
■性格
自分はいたって真面目だが、よく「変わっている」と言われる
■好きな言葉
「夢を見るから人生は輝く」(モーツァルトの名言)
■好きな場所
リラックスできる自然豊かな場所
■好きな食べ物
お寿司(海外ではいつも生魚に飢えている。笑) 実はスイーツも大好き♪
■マイブーム
白いスニーカーを磨くこと
■1日の練習時間
多い時は10時間。普段は4〜5時間。リフレッシュする日は0時間!
■練馬での思い出
緑が多くて環境が良かった。よく石神井公園を散歩していた。
新たな挑戦へ
今後もますます活躍が期待される石井さんは、
「クラシックの魅力を伝えることを基本に、ダンスやアートなどとのコラボや、オリジナルグッズの販売もやってみたいですね」と意欲的。どんな進化を遂げていくのか楽しみですね。
2022年2月には全国ツアーが予定されているとのこと。日本で“生の音”を聴けるチャンスです!
石井琢磨さんのYouTube動画 → TAKU-音TV たくおん