※この投稿は、月刊Kacce2022年9月号(vol.464)掲載記事の再編集です。
今月10日は中秋の名月で、今年は満月と重なります。晴天だったら19時前後に夜空を見上げてみてください。
公園などの樹林帯散歩でキノコを見かけることが多い季節になりました。地上に森林が出現したのが今から3億5000万年前と言われ、その頃は菌類が十分に発達していなかったため植物が分解されないまま埋没し、長い年月をかけて育成されたのが石炭です。今では化石燃料として温暖化のやり玉に挙げられますが、石炭は太古からの遺産でもあります。
菌類は多くの植物の根と共生関係にあり、有機物を最終的に土に還す重要な役割を果たしています。植物と、われわれ動物と、菌類の巧みな調和によって、現在の自然界は成り立っています。キノコは見方によっては地上に咲いた花のようでもあり、果実のようにも見えます。
キノコとは特定の菌類の総称で、語源的には「木+の+子」のようですが、ややこしくなるので、キノコとは「子実体(しじつたい)=胞子を形成するための器官が目で見える程度に大きいもの」と解釈してください。
散歩中にシダレヤナギの幹で見かけたキノコは、サルノコシカケ科の「ヒラフスベ」。こぶ状で、傘肉は最初肉質、のち粉状に。色はレモン色~類白色から、褐色に変化します。食べられませんが、経過観察するには楽しいキノコです。
森の掃除屋でお腹の掃除屋でもあるキノコを食べる時は、必ず市販品を。キノコの見極めは厳密には顕微鏡の世界のことなので、俗説に惑わされず、食べることのないよう散歩をお続けください。
森野かずみ