堰婆さんのクロマツ(月刊Kacce12月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2022年12月号(vol.467)掲載記事の再編集です。

 今月22日は冬至です。外が寒ければ寒いほど、家の中に入ったときの暖かさは格別なもの。食事の白い湯気や香り、ストーブやこたつの温もりなど、冬は室内に暮らしの喜びを感じることができます。動物たちや植物がいろいろな形で冬ごもりをするように、人も冬にしっかりこもることによって心が安らぎ、充電することができます。

 練馬総合運動場公園の横を流れる石神井川の糀谷橋(こうじやばし)のたもとに、“ねりまの名木”のひとつ「堰婆(せきばあ)さんのクロマツ」(練馬区早宮3-26)がそびえています。樹高11m、幹回り1.5m。案内板には、「石神井川の堰守り婆さんが住んでいたところ。婆さんは蛇になったと伝えられ、のちに住まい跡に祠(ほこら)が建てられ、人々が咳止めのお参りをするようになったといわれています。この由来を偲んで指定されました」という表記があります。

堰婆(せきばあ)さんのクロマツ

クロマツの樹皮

 クロマツはマツ科マツ属で、別名はオマツ。砂浜に続く海岸や岩上に多く、潮風に対する抵抗力の強い樹木です。アカマツより大気汚染に強いとされ、都市部にも多く植栽されています。葉は2葉性で濃い緑色。松葉の付け根にある茶色の部分は葉の一部ではなく、短枝です。葉先は触れると痛いのでご注意を。樹皮は網目状に裂けた黒褐色で、和名の由来だと言われています。アカマツとの雑種アイグロマツ(別名アカクロマツ)は、葉や樹皮が両者の中間的な形態で、丈夫なので植栽もされています。

 冬至を過ぎると寒さも厳しくなってきます。散歩の後にこもる楽しみを持ちながら、冬の散歩をお続けください。

森野かずみ

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