ヒガンバナ(月刊Kacce9月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2023年9月号(vol.476)掲載記事の再編集です。

 今月23日は季節の指標である二十四節気の「秋分の日」。昼と夜の長さがほぼ等しい頃を秋分といい、時期は9月23日〜10月7日頃です。仏教では秋分の日の前後7日間を彼岸とし、西方浄土を拝む風習があります。また、秋の彼岸は「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、残暑がやわらぐ頃です。

 季節の変化に呼応し、この頃一斉に花を咲かせるのが「ヒガンバナ(彼岸花)」(ヒガンバナ科ヒガンバナ属)。中国大陸原産の多年草で、別名「曼珠沙華」と呼ばれる有毒植物です。1つの花のように見えますが、通常は花茎の先に6個咲き、それぞれの花に花被片(花弁とガク片)が6個ずつ。糸状に見えるのは雄しべと雌しべです。葉は花の終わる頃に出始めて翌年の晩春頃には枯れるため、「葉は花知らず」の植物です。ヒガンバナは種子のできない3倍体の植物なので、球根で増えます。まれに種子が付くものもありますが、発芽はしないようです。

ヒガンバナ

 彼岸の頃に咲くことから「彼岸花」と言い、「曼珠沙華」は梵語(サンスクリット語)の“赤い花”という意味に由来しています。有毒成分のリコリンは全草に含まれ、口にするとおう吐、下痢、けいれん、時には死に至ることから「地獄花」「死人花」とも呼ばれます。古くからの墓地に多く、「葬式花」「幽霊花」など、別名は数百以上あるようです。「花に触るとかぶれる」と言われますが、触るだけなら大丈夫です。

 同じヒガンバナ属で、時々見かける白い花「シロバナマンジュシャゲ」や種子を付ける黄色い花「ショウキズイセン」なども探しながら散歩をお続けください。

森野かずみ

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