練馬区立光が丘第二中学校に「競技かるた部」があると聞き、さっそく部活動の練習にお邪魔させていただきました。競技かるたは、知力も体力もフル回転のハードな競技で、人気漫画「ちはやふる」の世界そのものでした!
※この記事は、月刊Kacce2024年1月号(vol.480)に掲載した記事を再編集したものです。
練馬区の中学校で 唯一の競技かるた部
競技かるたに情熱を注ぐ高校生たちの青春を描いた漫画「ちはやふる」は、かるたブームの火付け役となった人気作品。今から5年前、その影響を受けた生徒たちから「競技かるた部を作りたい!」と切望する声が上がり、光が丘第二中学校に競技かるた部ができました。
2023年12月現在は、3年生が引退し、1、2年生の部員17名で週2回の練習に励んでいます。部長を務める2年生の宮本さんは小学4年生からかるたを始め、部内唯一の有段者。「競技かるた部がある中学校に行きたい!」と越境入学して通うほど、かるたに情熱を注いでいるのです♡
競技かるたは畳の上の格闘技!?
競技かるたで使うのは小倉百人一首かるた。個人戦と団体戦があり、個人戦では取り札100枚のうち、ランダムに25枚ずつ選んで自陣の前に並べ、読手が読む上の句を聞いて札を取ります。相手陣の札を取った場合は自陣の札を相手に1枚送り、先に自陣の札がなくなった方が勝ちです。
ルールはシンプルですが、百首全部を覚えておくのはもちろん、試合の都度、短時間で札の配置を記憶しなくてはいけません。神経を研ぎ澄ませて読み上げを聞き、素早い動きで相手より先に札を取る! 記憶力・集中力・瞬発力が要求されるれっきとしたスポーツで、“畳の上の格闘技”とも呼ばれています。
また、競技かるたの試合には審判が付かず、微妙な判定は双方で話し合って決めるのが基本なので、こうした交渉を通して精神力も鍛えられるのだとか。頭も体も使うので、試合を終えると生徒たちはクタクタになるそうです。
静寂の中で全集中!
部活動の様子も見せていただきました。この日は試合形式での実戦練習。12月にもかかわらず「動きやすいから」と裸足で臨む部員もいて、こちらも気が引き締まる思いです。試合中の私語は厳禁。厳粛な雰囲気のなか、読み上げと札を取る音だけが響きます。このほか、競技かるたならではの練習もあるそうです。
例えば、「払い練」はその名のとおり札を払って取る練習。野球の素振りのように、繰り返すことで体に動きを染み込ませます。競技かるたではお馴染みの動作ですが、札を取る際、その場から手を払うことでケガ防止にもなるそうです。それでも突き指は日常茶飯事で、骨折したという部員も…。
部活動について部員の皆さんに聞いてみると、「先輩後輩に関係なく仲が良くて楽しい」「歴史は苦手だけど平安時代だけ得意になった(笑)」「古文がわかるようになった」など、さまざまな好影響をもたらしているようです。
今後の活躍に期待大!
昨春からは外部指導員を迎え、練習試合や大会出場など、校外活動にも力を入れるようになりました。週に1回、外部指導員として生徒たちを指導するのは、「東大泉かるた同好会」の代表を務める徳内さん。
徳内さんのおかげで部の雰囲気がより引き締まり、今年入部した1年生は、例年より百首覚えるのが早かったそうです。競技用のかるた札も使うようになり、部としてますますパワーアップ! 試合に挑戦する生徒も少しずつ増え、「札を取れた時は叫びたいほどうれしい!」と、口々に語ってくれました。1月に全校で開催するという百人一首大会でも大活躍することでしょう。
生涯を通して楽しめる百人一首かるた
競技かるたの公式大会は段位別に分かれており、同じレベルの人と対戦するため、初心者でも安心。出場するのに年齢制限がなく、スマホの読み上げアプリを使えば自主練もできるので、思い立ったらすぐ始められるのが魅力のひとつと言えます。
「80代の方が楽しんでいる姿を見ると私の老後も明るくなります♪」と話す徳内さんは、子育てが一段落してからハマったそうです。
大会に出場せずとも、エキサイティングな試合は見るだけでも楽しいもの。競技かるたの最高峰である「名人位・クイーン位決定戦」など動画で配信されるものもあるので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
部長の宮本さんの目標は、もちろんクイーン! 競技かるたの女性日本一が地元から誕生するかもしれませんね♪
月刊Kacceが無料で配布できるのは、広告のおかげです。