※この投稿は、月刊Kacce2017年12月号(vol.408)掲載記事の再編集です。
11月初旬頃にはツツジの花が目に付く程度に咲いていました。
暖かい陽気に誘われて、梅や山吹など季節外れの花が返り咲く様子を最近では「狂い咲き」などと呼びますが、昔からの呼び名は「帰り花」。こちらの方がいい響きですね。
紅葉した木の葉が冷たい木枯らしに運ばれ、落葉樹はだんだんと裸木になり、それぞれの特徴を表します。公園などに数本植栽された大きなケヤキは、眺めてみれば同じ形の木はありませんが、基本的には大きな枝から小さな枝へと美しい流れを保っています。樹木は放置しておくと自然樹形に整いますが、形を作った庭木などは毎年剪定が必要になります。
裸木を見上げて時々目に留まるのが「ヤドリギ」(宿り木・寄生木)。従来はヤドリギ科でしたが、現在はビャクダン科に含まれています。
エノキやケヤキ、ムクノキやサクラなどの落葉広葉樹に半寄生する常緑小低木で、高さは60㎝前後。枝は二又分枝を繰り返します。
果実は球形で、12月頃に淡黄色に熟します。冬鳥のキレンジャクやヒレンジャクの好物になっているようですが、種子は小鳥に消化されない粘液質の果肉に包まれているため、排泄後も宿主となる樹皮に張り付き、発芽することができます。
ヤドリギは高い所に多いので、肉眼での詳しい観察は難しいと思いますが、様子を想像してみてください。
降り積もった落ち葉を踏みしめて、足下の感触を楽しみながら、冬の散歩をお続けください。
森野かずみ