※この投稿は、月刊Kacce2019年9月号(vol.429)掲載記事の再編集です。
今月13日は、空高く秋風を感じる中秋の名月。翌14日は月の光を浴びる十五夜の満月で、練馬・板橋区内でも虫の音を耳にする季節になりました。
最近、お月見の頃になると、道端や荒れ地でイネ科モロコシ属のセイバンモロコシ(英名ジョンソングラス)を目にします。ススキによく似ており、大型で高さは150㎝前後。葉の中央脈は白色で幅広く、両面無毛で縁は多少ザラツキがありますが、ススキのように手を切る心配はありません。小穂(しょうすい)は無柄1個と有柄2個が対になり、無柄の先端にはトゲ状の芒(のぎ)があります。帰化植物ですが、意外とお月見に合うかもしれません。
刈り取りが終わった水田では、ミズアオイ科ミズアオイ属のコナギ (小菜葱)を見かけました。コナギは池や河川の浅水域でも見られる抽水性の一年草で、茎は短く倒伏。葉は、倒披針形や卵型などさまざまな形をしています。
花茎は短く、花が葉の高さを超えることはありません。花は青紫色で、開花時間は数時間。6本ある雄しべのうち、5本は短かめで葯(やく)は黄色、やや長い1本の葯は青紫色で、雌しべは1本です。花茎は花が咲いた後に垂れ下がり、楕円形で小さな果実を付けます。コナギの結実率は極めて高く、開花前後に雌しべが動いて青紫色の葯に触れ、自家受粉することは確認されていますが、黄色の葯の役割はよくわかっていないようです。
農薬を使った水田には繁殖しないと言われていましたが、農薬に耐性のある個体も出現しているようです。除草剤を使った後の枯草にも目をやりながら散歩をお続けください。
森野かずみ