日陰の花と日向の花(月刊Kacce8月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2024年8月号(vol.487)掲載記事の再編集です。

 今月は7日が立秋。暦の上ではこの日から秋に入るとされますが、まだ暑い盛りです。二十四節気は季節を先取りする傾向があるとは言え、最近特に立秋には違和感を覚えます。さらに22日は暑さが少し和らぐ頃とされる処暑で、何だかややこしさを感じます。この時期、暑さから冷たいものを摂り過ぎると胃の温度が下がり、消化吸収が悪くなってしまいます。夏野菜のトウモロコシやニガウリ、ピーマン、オクラなどは体を冷やす働きがあるので、献立に取り入れてみてはいかがでしょう。

 8月に日陰の地面に花を咲かせるのは、宿根性の多年草「ミョウガ」(ショウガ科ミョウガ属)。食用で栽培するのは日本だけのようです。草丈は70㎝前後で、一見栽培用のショウガにも似ています。花は淡黄色で一日花、株元の食用部分から数個咲きます。ちなみに地下鉄丸ノ内線の茗荷谷駅周辺は江戸時代〜大正時代、ミョウガの大生産地でした。明治時代に宅地開発が進み畑はなくなりましたが、近年地下茎が見つかり、2011年に栽培が復活。現在は江戸東京野菜として「早稲田ミョウガ」の名で販売されています。

ミョウガと花冠(右)

 一方、1年草〜多年草の「メハジキ(目弾き)」(シソ科メハジキ属)は日向の花。高さは1m前後で全体に毛が密生し、葉はヨモギ状に切れ込みがあります。花は上部の葉腋に淡紅紫色の唇形花を数個ずつ付けます。子どもたちが茎を短く切ってまぶたに挟み遊ぶ様子からその名が付きましたが、今や区内ではほとんど見かけなくなりました。

メハジキ

 猛暑日続出の気配ですが、早朝に歩くなど、工夫して散歩をお続けください。

森野かずみ

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