※この投稿は、月刊Kacce2024年9月号(vol.488)掲載記事の再編集です。
今月の7日は白露。風が弱く晴れた夜ほど朝露が見られ、秋雨の季節でもあります。17日は中秋の名月、18日が満月。19日は彼岸の入りで、ヒガンバナの咲く頃です。ヒガンバナは大きな1つの花に見えますが、真上から見ると6つの花の集まりだとわかります。各花に花被片(ガクと花弁)が6枚あり、雄しべと雌しべが糸状に伸びています。
9月の初め、練馬区の秋の陽公園にある田んぼでは、こうべを垂れるイネの実りを見ることができます。田んぼはあぜ道で6面に分けられ、周辺の小学生の稲作体験として田植えから稲刈りまで、行われています。植えられているのは「もち米」で、私たちが普段食べている「うるち米」とは含まれるデンプン量が違います。粘り気が強いもち米は日本では生産量が少なく、文字通り餅などに使われますが、ラオスのように生産量が多い国もあります。公園の田んぼで刈り取られたもち米は傍らの広場で天然乾燥されますので、機会があればその様子も眺めてみてください。
刈り取り後の田んぼでは、キク科タカサブロウ属の「タカサブロウ」や、ミズアオイ科ミズアオイ属の「コナギ」が見られます。タカサブロウは直径1㎝ほどの頭花を付け、舌状花は白色、頭状花は緑白色、葉は対生で披針形です。変わった名前ですが語源は不明。なお、種子の形でしか見分けがつかないアメリカタカサブロウも帰化しています。一方、コナギの花は直径2㎝弱で青紫色。葉より下に花が咲くのが、ミズアオイとの違いです。
秋とは思えない暑さが続きますが、季節の変わり目の散歩をお続けください。
森野かずみ