※この投稿は、月刊Kacce2018年9月号(vol.417)掲載記事の再編集です。
「武蔵野は月の入るべき山もなし草より出でて草にこそ入れ」とも詠まれているように、かつて武蔵野は見渡す限りの原野で、人もほとんど住んでいなかったようです。
江戸時代になって上水が引かれ、田畑が開墾されて植林が繰り返されたため、雑木林のイメージが出来上がりました。
今では少なくなりましたが、農家の屋敷林や雑木林には、人の手で作られ大切に守られてきた数百年の歴史があります。
ちなみに、林の語源は「生やし」、森は「盛り」だそうです。
秋の七草のひとつとして親しまれる植物に、ハギ(萩)があります。
この場合の「ハギ」は特定の種類ではなく、低木のマルバハギやヤマハギなどの総称として使われています。
ここで紹介する「ハイメドハギ」と「ネコハギ」は、いわゆる「ハギ」とはやや印象が異なるハギ属マメ科の草本です。
両種とも日当たりの良い草地や道端に生える多年草で、公園などの草地でも見かけます。
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ハイメドハギ
ハイメドハギはメドハギの変種で、茎の下部が地面を這っているためメドハギより低く、見かけは30㎝前後です。
葉は3小葉で茎に密生し、小葉はくさび型で長さは2㎝、幅は3㎜前後で裏面に伏毛があります。
花は葉腋(ようえき)に数個ずつ付き、旗(き)弁全体と、他の花弁の先端が紫色を帯びています。
ネコハギは全体に黄褐色の毛が多く、茎の基部近くで枝分かれして地を這っているので、高さはほとんどありません。
葉は互生し3小葉で、長さも幅も1.5㎝前後の広卵形。
花は葉腋に数個付き、白色で7㎜前後、旗弁に紅紫色の斑紋があります。
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ネコハギ
どちらも地表近くに咲く花なので、足元を気に留めながら散歩をお続けください。
森野かずみ