山百合(月刊Kacce5・6月合併号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2020年5・6月合併号(vol.437)掲載記事の再編集です。

 今月、水無月(みなづき)は21日が二十四節気の夏至で、年間で最も昼が長くなる日。

 シェークスピアの「真夏の夜の夢」は夏至の夜の物語です。カナダで始まったキャンドルナイト(夏至と冬至の夜、照明を消しキャンドルを灯すスローライフ運動)は、日本で広がりを見せています。

 二十四節気とは旧暦の太陽暦で、季節が一巡するサイクル(365.24日)が基本の単位。春夏秋冬をさらに6分割し、1年を24節の「気」から成る季節の変化の中でとらえ、細やかなうつろいを知る手掛かりにしたものです。

ヤマユリ
ヤマユリ

 今回は日本特産のユリ、「ヤマユリ(山百合)」の観察散歩に出かけてみましょう。ユリ科ユリ属で、高さ100㎝以上になる大型の多年生植物です。葉は長さ13㎝前後の披針形で、育成環境によって横並びやらせん状など茎への付き方は異なります。大型の白い花は20㎝前後あり、反り返った花被片に黄色の筋と赤褐色の斑点が目立ちます(斑点のないものや色の違う個体もあります)。

 自生地は本州中部から東北地方の海抜500m前後の所が多く、他の地区で自生するのは栽培品が野生化したものと考えられます。最近では移植も多く、練馬区清水山の森などもその1つです。

 芽生えから蕾を付けるまで40日前後、さらに開花まで2か月前後。蕾が白く変化すると間もなく開花です。下を向いていた蕾は開花すると横向きになり、雄しべの葯は丁の字、雌しべの柱頭は上向きになって受粉に備えます。ヤマユリの花は強い芳香を放ち昼夜を問わず大きな昆虫を待っています。

 開花は6月下旬頃から。大きな花を咲かせるまで5年以上かかる植物に敬意をもって散歩をお続けください。

森野かずみ

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