※この投稿は、月刊Kacce2021年2月号(vol.445)掲載記事の再編集です。
今年の立春は124年ぶりに2月3日なので、立春の前日である節分は2月2日になります。
「椿(ツバキ)」は文字通り春の花。植物学上の種であるヤブツバキの別名ですが、一般的には総称として使われ、園芸品種は2,000種以上と言われています。語源には葉の艶から“津葉木”、葉の厚さから“厚葉木”など諸説ありますが、いずれも葉の特徴が由来のようです。
ヤブツバキ(ツバキ科ツバキ属)は日本原産種で海沿いに自生し、北限は青森県の下北半島と津軽半島に囲まれた陸奥湾中央の夏泊半島。椿山と呼ばれる大群落は天然記念物に指定されています。通常、花は赤色ですが、淡紅色や白色もあり、直径6㎝前後で平開しない花弁が5個。多数ある雄しべの花糸は白色で下半分は合着し、筒状になった基部が花弁に付いており、花筒の底には大量の蜜があります。本州中北部には、近縁種のユキツバキがブナ林などに低木状に広がり、4月~6月頃ヤブツバキによく似た花を咲かせますが、花糸が濃橙黄色~黄赤色なので見分けられます。
ツバキとよく似ているのが、ツバキ科ツバキ属の冬の花、「山茶花(サザンカ)」。「ツバキの花はガクと雌しべを木に残しボトリと落ちる」と言われますが、園芸品種にはサザンカのようにパラパラと落ちるものもあるので、開花の時期で見分けるのがわかりやすいでしょう。
光が丘の夏の雲公園の一角にある椿園は、樹木板が整備されています。園芸品種は開花時期も多様なので、蜜を吸うメジロなど眺めながら、散歩をお続けください。
森野かずみ