〜昭和の面影が残る住宅地〜「ときわ台駅」北口探訪(2024年月刊Kacce12月号)

“板橋の田園調布”と称される板橋区常盤台。昭和初期から約90年にわたり守られ続けてきた街の景観と地元の気になるお店を紹介します!

※2024年12月号掲載当時のものです。内容が変更になっている場合があります。

 東武東上線ときわ台駅北口を出て少し歩くと、ちょっと変わった街並みであることに気付きます。駅前ロータリーから放射状に伸びた道路、住宅地の中の環状の並木道(プロムナード)、小さなロータリーのような袋小路(クルドサック)など…。全国的にも珍しいユニークな形状の道が張り巡らされています。美しい曲線を描く道には、よく手入れされた生垣や植え込みが随所に見られ、まるで映画のセットに迷い込んだかのような気分に!

クルドサック
常盤台1丁目に5か所ある円形状の袋小路。車の通り抜けができないので交通量が少なく、静かな環境が保たれています
プロムナード
住宅地を環状につなぎ、1周歩くと約20分の散歩道
フットパス
通りと通りを結ぶ歩行者専用の小路があちこちに!

 ここは「常盤台住宅地」と呼ばれる常盤台1丁目・2丁目エリア。東武鉄道の宅地開発によって約26万4千㎡におよぶ区画整理事業が進められ、1936年(昭和11年)から分譲が開始されました。街づくりは内務省の都市計画プランに沿ったもので、電気・ガス・水道・暗渠式の排水を備えた完璧な住環境。「住みやすい、環境のよい、健康住宅地」とうたわれ、和洋折衷の昭和モダン建築の住宅が立ち並びました。

噴水や草花で彩られた公園のような北口のロータリー。11月10日にイルミネーション点灯式が行われ、華やかに!
南口にある天祖神社。常盤台の名称は、境内にあった「常盤の松」にちなんで付けられたそう

 時を経て住宅の様相は少しずつ変化しましたが、2007年に「ときわ台景観ガイドライン」が策定され、今なお住民たちによって街の美観が守り続けられています。そのためか、90年近く経った今でもオシャレで品のある街並みは魅力的♪ 変化に富んだ道を歩いているだけでワクワク感が止まりません。歴史に思いを馳せながら、探検気分で隅々まで歩いてみたくなります。

駅北口改札内に展示されているのはシルバニアファミリーのジオラマ。季節や常盤台をテーマに年8回ほど入れ替わります
2018年の改修で開業当時の姿を復元したときわ台駅の駅舎

 ちなみに、ときわ駅の前身である武蔵常盤駅が開業したのは1935年(昭和10年)。かわいらしい青い三角屋根と大谷石の壁面の駅舎は、改修後も変わらず地域のシンボルとして親しまれています。駅の外壁のギャラリースペースには、常盤台住宅地の文化財などを紹介した写真パネルが展示されています。 次ページでは、老舗とニューフェイスの2店舗を紹介します!

  ホビーストア フジヤ(創業59年の老舗のおもちゃ屋さん)

ときわ台駅の北口改札内に展示されているシルバニアファミリーのジオラマを作っているのは、地元のおもちゃ店「フジヤ」の初代店主、藤田宏さん(81才)。季節に合わせたテーマを考えて土台や小物を作り、奥様の恵美子さんが衣装を担当しています。
 「おもちゃ屋さんが激減している」と話す2代目の和央さんは、店舗2階のスペースを使って子どもたちがおもちゃで遊べるイベントや大会などを開催し、日々奮闘中!

ホビーストア フジヤ(東京都板橋区常盤台2-27-9)
 2階のイベントスペース。カードゲームやベイブレード、ミニ四駆など、ホビー系の品揃えも充実しています
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喫茶 小雪(個性あふれる昭和レトロ空間)

 フジヤのご主人が教えてくれたのが、昨年12月に開店した昭和レトロな喫茶店。店主の小雪さんが大好きだと言う“昭和&平成・ヤンキー・中森明菜・キティちゃん・盆栽”で埋め尽くされた空間は、おもちゃ箱のようなワンダーランド♡
 さらに、ヒョウ柄の椅子のカバーにハート型のグラス、薔薇(ばら)をかたどった生クリームが乗ったシナモントーストなど、とことん小雪ワールドが楽しめます(笑)。昭和世代はもちろん、若い世代にも人気とのこと。唯一無二の世界感をぜひ体験してみてください!

■喫茶 小雪 板橋区前野町2-2-5
Instagram:kissa_koyuki
スパゲッティやサンドイッチ、トーストなどの軽食のほかデザートもあります





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