※この投稿は、月刊Kacce2020年4月号(vol.436)掲載記事の再編集です。
暖冬の影響は春の花々だけでなく、農作物の成長や収穫などにも表われてくると思われます。
桜の楽しみ方は、遠くから花の雲のように眺めるのがいいという方や、桜の下で花見をするのが好きという方など、さまざまでしょう。桜といえば日本だと思われがちですが、実は野生品種は中国の方がはるかに多く、世界に類を見ないほど栽培品種が多いのが日本なのです。
桜は同じ種内でも異変の幅が広く、屋外では他の種との雑種も多く生じているため、ソメイヨシノの列植の中に “少し感じが違う”桜があることも。植物の観察には10倍程度のルーペがおすすめです。肉眼では気が付かないレンズの世界から、何かを感じ取っていただけると思います。
今回は、サトザクラの仲間で独特の樹形を持つ 「アマノガワ(天の川)」を眺めてみましょう。もともとは東京の荒川堤で栽培されていたもので、逆さにした竹ぼうきのように枝が真っ直ぐ上に向かって伸びているのが特徴です。
若芽は褐色を帯びた黄緑色。花序は散房状で3~4花、鱗片は2㎝程度と大きく、薄紅紫色。苞は1㎝程度で緑色、小花柄は3㎝強で花序全体が直立し、花はすべて上を向いています。10~20個ある花弁は直径2㎝前後の円形で、先端に多数の細かい切れ込みがあり、色は淡紅色。最近では街路樹として植栽されることも多く、観察には練馬区田柄5丁目の区立ともだち公園がおすすめです。
近くの畑も眺めながら、住宅街での散歩をお続けください。
森野かずみ