※この投稿は、月刊Kacce2020年10月号(vol.441)掲載記事の再編集です。 今月1日は中秋の名月で、翌日が満月です。中秋とは文字どおり秋の真ん中で、旧暦8月15日のこと。
満月は夜の帳(とばり)が降りた頃に東の空に上ってきますが、翌日からは毎日ほぼ50分ずつ遅くなり、下弦の月は真夜中に上ります。どこにいても見る月は同じですが、見上げる場所によって感じ方が異なるかもしれません。
昔の人は名月の夜、雲に隠れて見えない月を無月(むげつ)、雨天なら雨月(うげつ)と呼び、見えないなりの趣を楽しんだようです。
光が丘公園の売店の横に、“銀杏(ぎんなん)の木”と呼ばれるイチョウの木があります。たくさんの種子が付き、落葉後も種子が残っているからです。「イチョウ(銀杏)」はイチョウ科イチョウ属で、原生種では1科1属の落葉高木。雌雄異株の裸子植物で、種子が付くのは雌の木です。
ギンナンはイチョウの種子で、果実ではありません。熟すと外種皮は黄色くなって悪臭を持ち、中種皮は白くて硬く2~3稜あります。食べるのは中種皮の中の胚と胚乳の部分で、胚乳には胚の成長に必要な養分が蓄えられています。栄養価が高く、美しい淡緑色と独特の風味が秋の食卓に彩りを添えますが、食べ過ぎるとおう吐やけいれんなどの中毒症状を引き起こすので注意が必要です。原因はビタミンB6の働きを阻害するメチルピリドキシンという有毒成分を含むためで、焼いても茹でても分解されることはありません。
イチョウは東京都の木に選定されていますが、シンボルマークはTOKYOの“T”をシンボル化したもので、イチョウの葉ではないようです。
足元のギンナンに気を付けながら散歩をお続けください。
森野かずみ