非時香果(月刊Kacce1月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2021年1月号(vol.444)掲載記事の再編集です。

 あけましておめでとうございます。

現在のグレゴリオ暦は世界共通の時間軸としては便利ですが、日付と曜日だけが意識され、自然界のサイクルを感じにくくなっています。

太陽や月は地球上のあらゆる生命にもっとも大きな影響を与えているため、太陽や月のリズムに目を向けると、人間も自然の一部であることを改めて感じるきっかけになるかもしれません。

橘
この辺りでは比較的珍しい種類のミカン属

 「非時香果(ときじくのかぐのこのみ)」は、時を問わず実を付けて、甘い芳香を漂わせる木の実、柑橘類のこと。田道間守命(たじまもりのみこと)が不老不死の理想郷から霊薬として苦労して持ち帰った逸話として、橘の実は古事記や日本書紀に登場しています。ミカン科ミカン属の橘(別名ニホンタチバナ)は柑橘類の中では数少ない日本原産種で、ひな飾りでおなじみの「左近の桜、右近の橘」の由来にもなっています。

シークヮーサー(品種クガニー)
シークヮーサー(品種クガニー)
ブンタン(和名ザボン)
ブンタン(和名ザボン)

 「菓」はもともと果物のことで、ミカン(蜜柑)は冬のお菓子として、キンカン(金柑)やダイダイ(橙)は風邪薬として、ビタミン補給のため用いられていました。現在、田道間守命はお菓子の神様としてまつられています。

 ミカン属は多様な種類が栽培されて正確に見分けるのは非常に難しいですが、街中で見かけたら葉の緑とオレンジ色や黄色の色彩を楽しみながら真冬の散歩をお続けください。

森野かずみ

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