修善寺寒桜(月刊Kacce3月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2021年3月号(vol.446)掲載記事の再編集です。

 フキ、ウド、セリは縄文時代から食されてきた日本原産種。フキは都会でもよく目にしますが、ウドやセリを見かけることは珍しくなりました。フキの若い花芽であるフキノトウは解毒、強壮作用があるため、冬眠から目覚めたクマが真っ先に食べると言われています。

 春の散歩で最初に目にする小さな生き物はアブ、チョウ、アリなどでしょうか。啓蟄の“地虫”とは、地中の虫だけでなくカエルやトカゲ、ヘビなどの爬(は)虫類も含まれます。

 ニホントカゲは、青いしっぽを宝石のように輝かせていれば若く、茶色ならば2才以上。全身が茶色く、しっぽが長い細身のニホンカナヘビが日向ぼっこをしているのを見かけたらしばらく眺めてみてください。時が止まったような静かな春の日を感じさせてくれますよ。

修善寺寒桜
修善寺寒桜

 練馬区立秋の陽公園の植栽された雑木林に、落葉樹に囲まれて花を咲かせている桜が数本あります。樹木板はありませんが、私の知見では「シュゼンジカンザクラ(修善寺寒桜)」で、カンヒザクラとオオシマザクラの雑種です。花色はかなり濃い紅紫色。樹皮はやや黒色を帯びた紫褐色で皮目が多く、枝は斜上。枝から続く鱗片(りんぺん)は長さ1㎝少々で通常は紅紫色です。

 花柄(かへい)は1~2㎝で、苞は長さ6㎜程度。小花柄は3本か、まれに4本で、長さ2㎝前後です。萼筒(がくとう)は鐘形で、萼片(がくへん)は全縁で花弁は5個。メシベの柱頭は1番長い雄しべの葯よりやや短く、花は直径4㎝前後です。

 開花した頃の特徴を枝から花まで順に解説してみましたが、遠くからのんびりと眺めるのもいいものです。今年はソメイヨシノの開花も早いような気配、足元に注意して散歩をお続けください。

森野かずみ

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