※この投稿は、月刊Kacce2021年4月号(vol.447)掲載記事の再編集です。
桜咲く花見の頃となりました。ソメイヨシノの後にヤマザクラやオオシマザクラと続き、ヤエザクラが桜吹雪にかわる頃が桜花見の終焉でしょうか。
繊細な花を付ける桜は虫媒花ですが、鳥にも人気です。花が地面に萼(がく)ごと落ちているのは、くちばしが太くて上手に蜜を吸えないため花の付け根をつついて穴を開けるスズメなど花喰鳥(はなくいどり)の仕業。花を傷めず上手に蜜を吸うメジロなどは花吸鳥(はなすいどり)。ヒヨドリも花吸鳥ですが、体が大きいため花をよく散らします。桜の樹には羽虫が多いので、他の鳥たちもよく集まります。
桜の花が終わる頃、果樹の花が次々と咲き始めます。散歩中、住宅街の比較的新しい庭で見かけたのが「リンゴ」(バラ科リンゴ属:別名セイヨウリンゴ)。通常、短枝の先に散形状の花序を出し、淡紅色か白色で直径35㎜前後の花を数個付けます。花弁は5個、雄しべが20本前後、花柱5個。花柄は綿毛が密生しています。
リンゴは明治時代初期に多くの品種が導入され、今では国内でも質の良い新品種が作られています。アメリカ原産で黄色い品種の「ゴールデンデリシャス」の実生から選抜されたのが「つがる」。「紅玉」と「国光」もアメリカ原産で、国光とゴールデンデリシャスの交雑実生が「ふじ」。つがるとふじの交配品種が「シナノスイート」で、いずれも秋から冬の八百屋さんではお馴染みです。
都会でリンゴの樹はあまり見かけませんが、果実より花を愛でるために植栽されたものだと思われます。見頃の花が多い季節、歩く際には周囲に充分注意して散歩をお続けください。
森野かずみ