紫雲木(月刊Kacce6月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2021年6月号(vol.449)掲載記事の再編集です。

 春頃からミツバチの花粉だんごを見かけることがあります。

 花粉はミネラルやビタミン、タンパク質などを豊富に含み、子育てに欠かせない大事な栄養源で、ミツバチにとっては「おかず」のようなもの。一方、主食の「ごはん」に当たるのがハチミツ。集めた花密をハチの唾液や酵素などで加工し、巣の中に貯蔵したものです。でも、主食を取られてしまうミツバチのことを考えると気持ちは複雑です…。

 今年の暖かさは植物の開花にも大きく影響しているため、例年より早く花が見られるかもしれないのが「ジャカランダ(和名:紫雲木)」です。ノウゼンカズラ科キリモドキ属で、板橋区立熱帯環境植物館入口右側に植栽されています。今月初め頃に青紫色の花が咲くと思われますが、樹高があるので観察には双眼鏡などがおすすめです。

ジャカランダ
ジャカランダ
ジャカランダ花序
ジャカランダ花序

 葉はネムノキに似て2回羽状複葉。花の形はノウゼンカズラによく似た5㎝位の花茎で釣鐘状、枝先に塊状に付くので目立ちますが、香りはないようです。カエンボク、ホウオウボクと並んで世界三大花木とされ、原産は中南米。日本に持ち込まれたのは1960年代、当時琉球政府だった沖縄県に、ボリビアのオキナワ移住地入植地から種子で持ち帰ったと記録されています。植栽は徐々に増えており、東京では夢の島熱帯植物館の庭で見られ、熱海市にはジャカランダ遊歩道などがあります。

 まだしばらくマスク生活が続くと思いますが、ゆったりとした散歩をお続けください。

森野かずみ

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