初春(月刊Kacce2月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2022年2月号(vol.457)掲載記事の再編集です。

 「ついたち」の語源は“月立ち”。新月の日で月が見えないため、三日月からさかのぼって数えたことから「朔」と書きます。朔は、地球から見て月と太陽が同じ方向に並ぶ時刻のことで、朔を含む日が「朔日(ついたち)」です。今年の2月1日は旧元日で新月、3日は節分ですが、日没後の西の空にわずかな時間だけ見えるかなり細い月が三日月です。

 今月あたりから見られる山菜のフキノトウは、フキ(キク科フキ属)の若い花茎。フキは地下茎を伸ばして増える多年草で雌雄異株。早春に、葉より先に花茎を伸ばして散房状に頭花を付けます。花茎には平行脈が目立つ多数の苞(ほう)を付け、雄株は高さ20㎝前後で黄色っぽい両性の筒状花を多数付けますが、結実しません。

蕗の薹

 雌株の頭花は時間をかけて高さ45㎝前後まで伸び、白っぽく糸状の多数の雌花の中に雄花と同じ形の両性花が数個混じります。花粉はできません。フキは散歩中に見ることも多いと思いますので、雄花、雌花を探してみてください。東北地方で見かける巨大なフキはフキの変種で、アキタブキと呼ばれます。栽培品種の多くはアキタブキの改良品種のようです。

ウメとメジロ

 今月はウメの花も目にしますが、ウメの花に来る鳥はウグイスではなくメジロです。 中国の漢詩に由来する“良い取り合わせ”のたとえで、よく「梅に鶯」と言われますが、ウグイスは藪(やぶ)で生活し、虫を食べます。虫の多くはまだ越冬中ですし、ウグイスは警戒心が強いため、滅多に人前には現れません。ウメは鳥媒花で同じ木の花粉では実りが少ないため、ウメにとって花粉を運ぶメジロはお友達です。

 春の息吹を感じながら、散歩をお続けください。

森野かずみ

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