夕化粧

※この投稿は、月刊Kacce2023年5月号(vol.472)掲載記事の再編集です。

 5月6日は二十四節気の「立夏」。暦の上では夏の始まりですが、一般的には入梅前までが春の感覚です。ただ今年はサクラ類などの開花状況が例年とは異なり、ソメイヨシノが満開の頃にはすでにヤマザクラやオオシマザクラも満開か八分咲き。ハナモモも同様だったことを踏まえると、花暦的には「立夏」となるかもしれません。

 盛り上がるような公園の緑に包まれて、ザワザワと葉擦れの音を聴きながら、すがすがしい散歩を楽しめるのも木々のおかげ。葉はなぜ、ごくわずかな風でも揺れ動くのでしょうか。ある一点だけ葉がゆらゆら揺れていることもあり、不思議なものですが、今回は足元の草花に注目してみてください。

ユウゲショウ

 最近、道路沿いなど至る所で見かける「ユウゲショウ(夕化粧)」(別名:アカバナユウゲショウ)はアカバナ科の多年草で、南北アメリカ原産。明治時代に観賞用として導入されたものの逸脱して野生化し、春から冬の初め頃まで次々と開花・結実するので、ほぼ通年見られます。観賞用だっただけあり見守られることも多いようで、草取りの後によく残っています。まれに美しく真っ白な花を咲かせる個体を「シロバナユウゲショウ」と呼びますが、学名は同じ。和名は「夕化粧」ながら、花が開くのは未明から朝方です。

シロバナユウゲショウ

 花壇で見かける、よく似た近縁の大きな花は夕方から夜にかけて開花し、翌日の昼もそのまま咲き続けるので「ヒルザキツキミソウ」。初めから濃い桃色の花を咲かせるのは「モモイロヒルザキツキミソウ」です。

 新緑の香り、すがすがしい風、まぶしい日射の中で、皐月(さつき)の散歩をお続けください。

森野かずみ

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