輪掛本青鸚哥茸(月刊Kacce12月号 散歩ウオッチング)

※この投稿は、月刊Kacce2023年12月号(vol.479)掲載記事の再編集です。

 今月7日は大雪(たいせつ)。山には雪が積もり、平野部でも雪が降り始める頃です。吐く息が白く見え、ナンテンの実が赤く色づき、ヒイラギの白い花からほのかな香りが漂い始めます。

 落葉樹の葉が落ち始めると少しずつ枝が見えて樹形の様子がよくわかるようになり、野鳥の姿もはっきりと見られるようになってきます。

 写真は公園で見かけた「ワカケホンセイインコ(輪掛本青鸚哥)」です。オウム目インコ科の鳥で、インド、スリランカに生息していますが、ペットとして飼われていた個体が逃げ出して各地で野生化しているようです。日本では1969年に、東京23区の南西部で最初に定着が確認されました。今では新潟県から関東地方、四国や九州地方まで生息地が広がっています。

ワカケホンセイインコ

 食性は果実、種子、花、新芽、穀物などの植物食で、都市部では他の野鳥用に置かれたエサ台からが主のようです。行動域は20㎞ほどで、集団でねぐらを持ちます。繁殖期は春ですが、木々の葉が茂ってくると、体が同じような緑色なので肉眼では見えにくくなります。

ムクノキに集まるワカケホンセイインコ

 オウムの仲間は寿命が比較的長いのが特徴。ワカケホンセイインコも最大寿命が30年ほどなので、在来種への影響があるかもしれません。ペットは安易な考えで飼育するのではなく、生涯飼い続けてほしいものです。最近は身近なところでハクビシンやアライグマと遭遇したり、池でアカミミガメの甲羅干しを見かけたり、外来種を多く目にします。木々を見上げていても、足元に十分注意しながら師走の散歩をお続けください。

森野かずみ

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