※この投稿は、月刊Kacce2025年1月号(vol.491)掲載記事の再編集です。
秋の七草は見るもの、春の七草は食べるもの。1月7日は「七草粥」の日です。せり・なずな・おぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ。これぞ七草。おぎょうはハハコグサ、すずなはカブ、すずしろはダイコンを指すとされています。ほとけのざは、シソ科オドリコソウ属の「ホトケノザ」ではなく、キク科ヤブタビラコ属の「タビラコ」のことなのでご注意ください。
カブとダイコンは栽培種ですが、それ以外の草は成長の初期にあたるため、屋外に生えているものを見分けるのは難しく、食べる時期に合わせて栽培されたものが市販されています。新春7日に七草粥を食べると無病息災で1年間過ごせる、と古くから言われていますが、日頃の油ものが多い食事から胃を休めるためには良い食事だと思います。
小寒と大寒を合わせて「寒の内」と呼びます。寒い季節ですが、散歩途中の日当たりのよい草むらでは、いわゆる雑草が花を咲かせているのを見かけます。七草粥のひとつ、ハコベ(はこべら)の仲間はナデシコ科です。花は白色で、花弁は5個ありますが、基部近くまで2裂なので10個に見えます。中心部の花柱は3個です。ノゲシの仲間はキク科、頭花は黄色で径2㎝前後、舌状花は多数、葉の鋸歯の先が刺状になっていますが、触っても痛くありません。シソ科のホトケノザは、七草粥には入れないでください。
よく見れば寒さの中にも春を見かけます。寒の内の散歩をお続けください。
森野かずみ